甘い渇き~3~

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俺の前に差し出された
チャンミンのその喉元に顔を寄せ、甘く薫るようなその皮膚に歯を立ててしまったあの夜。
信じられないほどの恍惚を味わった。

前々から気付いてないわけじゃなかった。

怪我をして帰って来たチャンミンが傷口を洗っていたあの日、不意に覗きこんだ俺の鼻腔を刺激するような甘い香りがした。

その一瞬だけで俺の中に渇いた衝動が湧き起こった。

そして同時にそれに身を任し溺れてしまう事に恐れを感じた。

やっぱりあの夜に見捨てて置けば良かったとさえ思ってしまった程だ。
この先も一緒に居ればいつか理性の糸が千切れてしまいそうな気がする。

その時、チャンミンは俺をどんな目で見るだろう。

化け物・・
そう罵られ恐れられ逃げ出すかもしれない。

いつもの事だ、何度も云われ馴れた罵り、とっくに何も感じなくなっていると思っていたのに

チャンミンの口からそれを聞くのを恐れている。

俺達を絶対的に信頼しているようなチャンミンを裏切りたくない。
そんな俺の葛藤は長年の付き合いのドンヘには伝わるようで

「ユノ・・お前さ、チャンミンはダメだからな」

なんて不意に釘を刺すように俺を見据える。

「何がダメなんだよ、ドンへ」
「惚けるのは無しだぜ、俺は許さないから」

ドンヘの双眸がぎらりと光り、本気だと伝えている。

「妙な心配してんじゃねぇよ、俺はそんなつもりじゃないからさ」
「そうだよな・・だったらいい、俺は別にいい」

安堵したように繰りかえる言葉を聞きながら
俺も心の中で唱えてみる。


俺はいい・・俺は欲しくない、欲しいとは思わない。

決してチャンミンを求めたりしない・・・

と。


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