夜の住人達~20~

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「いいんだ・・僕は」
「なにがいいってんだよ、お前は何もわかっちゃいない」

わかっていない?
それはユノだって同じだ。
僕にとってどれだけユノが特別なのか彼にどうすれば伝わるのだろうか。

「僕の血は甘い?」
「ああ、特別に甘くていい匂いだ」

ユノは眉根を寄せて少しだけぶっきらぼうに言い捨てる。
彼に特別だと言って貰えた事が嬉しくて
我知らず微笑んでいた。

「全部あげる、ユノに僕を全部あげる」

切なる願いのように繰り返す僕を

「馬鹿かお前、意味も知らない癖に軽々しく言ってんじゃねぇよ」

と突き放すようにユノは言い顔を背けてしまう。

「どうして?ユノは言ったじゃないか、お前は俺のだって、あの時からずっと僕は」

僕は一度だって忘れてはいない。
初めて出会ったあの晩に彼が言った事を。
絶望して暗闇の中で独りきりだった僕をユノが救ったのだから。

「そんな昔の事なんか俺が覚えてるわけないだろ、お前も拘ってんなよ」

ユノは意地悪だ。
昔なんて言いかたで誤魔化そうとしているのだ。

「ユノ、嫌だよ」

まるで、駄々を捏ねているみたいに僕は首を振った。

「チャンミン、しょうのない奴」

やがて、諦めたみたいユノが僕を引き寄せる。
彼の肩に頭を凭せると段々落ち着き始める。
ユノが好きだ。
もうずっとずっと前からなんだ。

「こんな夜は理性が持たないんだよ、俺が」

やがて自分に言い聞かせるみたいにユノが
そう呟く。

「こうやってるだけでも
お前から甘い匂いがしてくるんだよ」
「うん」
「うん、じゃねえよ、この馬鹿野郎」
「うん」



ああ、満月が冴え渡るようだ。

こんな夜は堪らなくなるのだとユノは言った。
僕がこうしてそばに居たらますますそうなのだろう。
彼の理性はいつ迄持つのだろうか。
そんなに長くは耐えられない筈。

ねえ、僕は貴方のモノ、だからこうして傍にいるのだから。
早くあの甘い痛みを与えて欲しい。









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